①自主的、自発的な活動である部活動の市内各中学校における実態と本庄市教育委員会としての位置づけ及び生徒教員の意思確認について②通学費貸与・補助事業(2019年第3回定例会・一般質問)
●「自主的・自発的」な活動である部活動の実態と、教育委員会としての位置付けなどについて
部活動は、その根拠を学習指導要領の「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」によります。しかしながら、教育課程には含まれておらず、日本国憲法、教育基本法、学校教育法といった教育法体系上も、部活動の実施を規定していません。この自主的な課外活動である部活動は、実際のところ、生徒の自主的、自発的な参加と言いながらも、学校によっては必ず部活動に所属しなければならないと担任の教師などから言われることもあります。
また、近年問題化しつつあるブラック部活、つまり部活動内での生徒の死亡やけが、教師による暴力、ハラスメント、活動時間の長さ、つまり平日や休日の活動、あるいは長期休暇には連日部活動を実施する場合があるなど、生徒にとっても、教師にとっても部活動が過度な負担となっている実態が明らかになり、社会問題化しています。
そこで、生徒、そして教師のためにも本市の中学校における部活動の現時点における実態を明らかにし、適正な部活動の実施によって余暇を創造することで、生徒であれば学業や趣味の勉強、遊び、家族との団らんなど、教師であれば授業準備やスキルアップの勉強、プライベートの充実などを図るため、以下、伺ってまいります。
1つ目として、本庄市教育委員会としての部活動の位置づけ、主に教育的効果と活動頻度に関する考えを伺います。
2つ目として、市内各中学校における部活動の実態、ここでは特に活動時間の最も早い部活の活動開始時間、活動時間の最も遅い部活の活動終了時間、休日、丸一日休みが月に4日以下の部活があるか。また、長期休暇時の活動日と日数を顧問はどのように決定しているか。そして、部活動の顧問選定に際して、校長はどのように決定しているかについて伺います。
<答弁>
まず、教育委員会としての部活動の位置づけについてご説明申し上げます。部活動は、生徒の関心も高く、中学校における重要な教育活動にもかかわらず、長く位置づけが曖昧な状態でありましたが、平成20年3月に告示された中学校学習指導要領において、学校教育の一環として、教育課程との関連が図れるよう留意することと、初めて明記されました。また、平成29年3月告示の中学校学習指導要領におきましては、生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質、能力の育成に資するものであり、学校教育の一環として教育課程との関連が図られるよう留意することと示されております。
このように学習指導要領にも明記されましたが、部活動は、各教科、道徳、特別活動などの授業とは異なり、教育課程外に行われる活動であり、その実施は学校の判断となります。本市においては、部活動は教育的効果が期待されることから、学校教育活動として位置づけており、全ての中学校で実施をしております。部活動は、部活動顧問の指導のもと、学校教育の一環として共通のスポーツや文化及び科学等に興味、関心を持つ生徒が集い、その能力、適性、興味、関心に応じた活動を通じて技能や知識の習得を目指し、継続して努力し、充実感や達成感を味わう等、生徒が学校生活を送る上で大きな意義を持つものであります。また、生徒が学級や学年の枠を超え、共通の目標を掲げた集団の中で切磋琢磨する中で、自主性、協調性、責任感、連帯感などが養われるなど、教育的効果の高い活動であると捉えております。その参加は生徒の希望によるもので、現在88%の生徒が部活動に参加をしております。
一方で、大会、コンクール等に向けた過度の練習による生徒の肉体的、精神的負担や学業への影響、教員の多忙化、負担の増加につながるという指摘もあることも認識しております。国においては、平成28年6月の文部科学省通知「学校現場における業務の適正化に向けて」では、適正、適切な休養を伴わない行き過ぎた活動は、教員、生徒ともにさまざまな無理や弊害を生むこと、教員の勤務負担の軽減のみならず、生徒の多様な体験を充実させ健全な成長を促す観点からも、休養日の設定の徹底を初め部活動の大胆な見直しを行い、適正化を推進することが示されております。
そのため、教育委員会では、より適切で効果的な部活動運営がなされるよう、平成30年3月にスポーツ庁が策定した運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインにのっとり、平成30年9月に埼玉県が策定し、運動部に加え、文化部も対象とした埼玉県部活動の在り方に関する方針を参考として、平成30年10月に本庄市立中学校部活動方針、以下、部活動方針と略称させていただきますが、これを策定したところでございます。
部活動方針には、活動頻度の目安として、教員の負担軽減のみならず、成長期にある生徒が運動、食事、休養及び睡眠のバランスのとれた生活が送れるよう休養日を設けることや、1日の活動時間を示しております。具体的には、1日の活動時間につきましては、長くても平日2時間程度、土曜日及び日曜日は3時間程度と定めております。休養日につきましては、平日に少なくとも1日、土曜日または日曜日に1日以上とし、1週間当たり2日以上の休養日を設けることとしております。長期休業中につきましては、これに準じて行い、加えて生徒が十分な休養をとることができるとともに、部活動以外にも多様な活動を行うことができるよう一定期間の休養期間を設けることとしております。
この部活動方針には、職員には年度当初の職員会議において、また保護者、生徒にはさまざまな機会を捉えて、十分にその趣旨を含め周知徹底を図っていくよう、各中学校の校長に対し指導しております。これを受けて、各中学校におきましては、それぞれの学校の部活動に係る活動方針を作成し、保護者会や学校だより、通知等により説明を行っております。また、全ての中学校でホームページでの公開もしております。しかしながら、まだ周知が不十分な状況もあるようでございますので、さらに理解が進むよう今後も各中学校に指導してまいります。
ご質問の中学校の部活動の実態についてでございますが、部活動方針で朝練習は午前7時30分から30分程度としております。準備のため開始時刻前に登校する場合もございますが、各中学校に確認をしたところ、朝練習を行う場合の最も早い開始時間は午前7時30分からとのことでした。
次に、終了時刻でございますが、部活動方針では、平日の活動時間は2時間の範囲内で、各学校の完全下校前としております。各部活ともこの目安に沿って活動を実施しており、季節による違いはございますが、各中学校では春から夏にかけてはおおむね5時30分から6時を部活動終了時刻として、日没が早い12月や1月は午後4時30分から4時50分までを部活動終了時刻としております。各中学校に確認をしたところ、部活動方針に規定する時刻までに活動を終了しているとのことでございます。
次に、休日の休養日が月4回、週当たり1回以下の部活があるかどうかというご質問についてでございますが、部活動方針では、土曜日または日曜日に1日以上という休養日を設けることとしておりまして、各中学校に確認をしたところ、部活動方針に示された大会等を理由に校長が認めた場合を除き、部活動方針どおりに実施をされているとのことでございます。
また、長期休業中の活動日や日数をどのように決定しているかについてでございますが、部活動方針では、長期休業中の休養日は学期中に準じた扱いをすると。さらに、生徒の十分な休養と部活動以外の多様な活動ができるよう長期の休養期間を設けることと規定しております。部活動顧問は、こうした方針をもとに活動計画を作成し、校長に提出をしております。校長は改めて、部活動方針にのっとっているかを確認しております。また、校長は活動計画を確認するに当たり、生徒が安全に活動を行い、教員の負担が過度とならないよう、適宜指導、是正を行うこともしております。教育委員会としても、その活動計画を確認しております。
次に、部活動の顧問選定についてご説明申し上げます。部活動の顧問選定につきましては、年度末に各教員から希望を参考にしながら、競技経験や指導経験などの専門性や、ベテランや若手教員の組み合わせ等の年齢構成等をもとに総合的に判断をし、最終的に校長が決定しております。また、その際には、外部指導者等の配置状況なども勘案しております。教員は、一度顧問となった部活動を継続的に担当することも多くありますが、校長は年度ごとに希望と校内の状況をもとに変更を加えて選定をしております。
教育委員会といたしましては、部活動が部活動方針にのっとり、適切で効果的な部活動運営がなされ、スポーツや文化活動等を通じて生徒の健全な成長が図られるよう、また教員の長時間勤務の解消等の観点から、円滑に部活動実施できるよう適宜支援及び指導、是正を行ってまいりたいと考えております。
◆再質問◆
おおむね市で策定した市立中学校の部活動方針に従っています、というような答弁でした。実はこれは全国的に問題になっているのは、もちろん文科省がこういうのをつくって、県がつくって、市でつくって、似通ったものが各市にあるわけですけれども、問題になっているのは、今言われたようなことではなくて、闇部活というふうに一部では言われていますけれども、例えば先ほどあったように、朝練習は7時半からやりますということになっていても、実は、自主的な活動としてみなして、部活動としては7時半からではある、だけれども、おまえらが勝手に来るのは、別にそれを俺の知ったことではないから、勝手に来てやっている分にはいいのではないかというふうに顧問に言われて、もっと早く来る場合があったりするわけです。お盆休みとか正月休み等のお休みの日、部活動ではないが自主的に練習しなさい、と強制されるのも一緒です。休みとはなっているのだけれども、きょうは自主練習の日だから、部活動としては休みなので、部活動方針には従っている。生徒の「自主的」、本当は自主的ではなくとも、現実にはこのようなことが、各所でまかり通っています。
部活動を語るときには、「自主的」という言葉のマジックではないですけれども、生徒のみならず教師自身も、生徒のために、自主的に、つらくても頑張ってしまうという面がある。生徒にとっても、一緒に頑張っている友達・仲間もいる、チームで大会にも出たいし、自分で選んだ部活だという思いもある。もちろん、先生に怒られるというのが怖い。
このような状況を「主体的な服従」と呼んでいる研究者もいるのですけれども、自分から、みずからそういうものに与しているという部分があるようです。
先ほどの自主的な活動とみなすことに加えて、もう一つ問題となっているのは、看板のかけかえというものです。「部活動」としては活動は終わっているけれども、実際には終わりはなく連続して活動が続く。その仕掛けは、団体、保護者会とか、あるいは地域の人とか、違う名義で中学校体育館を部活動終了後の時間借りて、「社会体育」と称して、実際は部活動をそのまま実施するというものです。
このようなことがまかり通っている事態が発生しているのです。ご答弁通りに、本庄市内の部活動が行われているとすれば、冬や夏で下校時刻は違うけれども、遅くても6時には部活動が終わっているというようなご答弁でした。
しかし、先に述べたように、色々な仕掛けがあります。「部活動」としては終わったのは6時だとしても、実際に生徒が校門を出たのもその時間なのか、疑問です。もちろん6時に終わっていれば、6時ぴったりに校門を出るということは不可能でしょうけれども、6時に部活が終わっているのに7時までいるとか、8時までいるとか、そういうことはないと思いますので、それも踏まえて、本当に部活動が終わっているのが、先ほど答弁いただいたように、本庄市内の中学校においては6時以降の下校は全くないのかというのを1つ目として伺います。
また、先ほど私が言ったように、「自主的な活動」も含めて、部活動がやっていないとしている日は本当にやっていないのか、疑問です。校内の統一した休業日を平日に1日、土日のどちらかに1日、週2日と定めているとご答弁がありましたけれども、「自主的な活動」も含めて、しっかり週2日、生徒も教師も休めているのかというのを伺います。
次に、先ほどご答弁の中にもありましたけれども、大会の前、1カ月前の2週間前後は、校長の裁量によって部活動ができるということです。確かに例外を認める、というふうな書き方に、本庄市のガイドラインもなっています。しかし全国各地では、これを悪用して、無意味に多くの大会に出たり、あるいは練習試合程度であっても、大会というものにしたりして、大会があるから部活をやりますというふうに悪用している事例があります。結果として、いつでも大会があるのでたくさん部活をやる。本市では、そういうような大会にたくさん出る状況を作り出し、部活をいつでもたくさんやるというような事例があるかないか、お伺いします。
<答弁>
ご質問としては3点ほどあったかと思うのですが、まず1つ目の自主練の関係です。部活動が終わった後に自主練をしているとか、そういった話かと思いますけれども、まず今回答弁でご説明いたしました部活動方針、こちらにつきましては平成30年10月にできたところで、現在、周知を徹底しているところでございます。なかなか周知が行き届いていないというところもありまして、まず当然学校の先生、そして生徒、それと保護者の方にも、やはりそういった活動方針、1日当たり、例えば2時間とか、休みの関係とか、そういったことを規定しておりますこの方針を、まずは保護者の方も含めて、まずよく知っていただきたいということで周知をしているというところでございます。そういったことで、もし仮にこの方針を超えた活動というのですか、時間を超えた活動をもし行っているとしたら、まだ周知が足りないのかなということは考えておりますので、まずはこの部活動方針の周知を図ってまいりたいということで考えております。
それと、あと、この部活の終わった時間以降も残っているのかというご質問なのですけれども、部活の終了時間は、原則として完全下校時刻前ということになっております。この部活の終了する時刻より完全下校時刻のほうが10分とか15分、後に設定されておりますので、そういった部分で部活が終わった後に残っている可能性もあるかもしれませんが、まず活動ということで、それ以降に残っていないということは確認しております。もし仮に、そういった活動しているということであれば、先ほどのとおり周知が足りないのかなということは考えております。
それと、あと、大会を悪用しているというお話についてなのですけれども、こちらも大会であれば全て何でもいいということではございません。例えば全国中学校体育大会とか、関東中学校体育大会とか、そういった特定の大会ということで規定をしておりますので、大会という名前がつけば何でもいいということではなくて、そのような規定された大会ということに限って扱っておりますので、そういった悪用はしていないというふうに認識をしております。
◆再質問◆
最初のご答弁と内容が少し変わっているかなという印象です。
各学校に確認をして、これを全て実施していると確認しているというように、私は最初の答弁で聞こえたのですけれども、先ほどの答弁だと、まだちょっと決めたばかりなので、知らない人もいるかもしれないというような、そういうふうに感じざるを得なくて、どっちなのかというのが正直なところです。
把握していないのだったら把握していないだし、ある学校では8時まで部活をやってよくて、だけれども、ほかの学校では、完全下校時刻ですか、その前に部活を終えているとすれば、それは生徒にとっても差があって不公平ですよね。A中学校の生徒はこの部活、その時間までしかできないのに、B中学校の生徒は8時まで、いろんなからくりを使ってやっている。私はそういう話を知っていますから、こういうこと言っているのですけれども、なので、ちょっとご答弁が変わった点も含めて、本当に最終下校時刻を超えて生徒が下校していないのかというのを、もう一度ご答弁いただければと思うのですけれども。
<答弁>
答弁の言い回しというか、それについては、申しわけありません。いずれにしても学校に確認をさせていただいて、そういった事例というか、実情があるかどうかということは、学校に確認させていただいてご答弁をさせていただいているところです。
ただ、周知が足りないという点については、いろんな学校から上がってくるものを見たときに、そういった認識があるということで答弁させていただきました。
それと、あと、完全下校時刻後に生徒が残っているかどうかということについてでございますが、部活動という点では残ってはいないのですけれども、実際に生徒がそれ以外の用で残っているかどうか、確認はしておりませんので、ちょっとお答えは申し上げられません。
◆再質問◆
先ほど市長からも具体的にという話があったので、学校名は伏せますけれども、男女バスケットボール部とか、柔道部とか、そういうところでは、先ほど私が紹介したような社会体育だという理屈を使って保護者に同意をとって、夜遅くまでやっているという実態があります。
それ自体は、やる気がある生徒にとってみれば、やりたいわけですから、あとはそのからくりどおり、社会体育ですから、それはいいと思うのです。だけれども、ここから社会体育ですよというふうに区切っていないのです、現実は。部活動から社会体育の切り替えのタイミングが無い。部活動から連続して、ずっと、そのまま部活動をやっているのです。
途中で、例えば生徒の中に、僕はこれがあるから帰りたい、本当は僕は完全下校時刻までに終えて家で勉強したいという子だっているわけです。しかし、部活動と社会体育の区切りがないわけですから、実際帰りたくなった場合は、部活動の途中で、私は帰ります、と生徒自ら申告し、顧問に言わなければいけない。
実際は、言えないのです。子供だし、同じような環境で耐えている友達・仲間のこともあるし、おまえだけ帰るのかと言われてしまう。
なので、先ほど局長からご答弁があったように、市の部活動の方針をしっかりと周知徹底していくことが肝要です。周知を徹底していく中で、先ほど紹介したような、部活動延長のからくりを使う場合も、ちゃんとここまでが学校教育です、この後は社会体育ですから、本当に、任意なのです、と一区切り、部活動と社会体育との間でちゃんとつけたほうがいいと思うのです。
そうしてもらわないと、連続でやっているわけですから、ここまでが部活動で、ここから社会体育なのですから、部活動方針通りです、と言われても、そんなのまかり通らないのではないかなと思います。
ぜひ今後、周知するときにはそれも申しつけていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
<答弁>
実情としてはバスケットボールとか、そういった部活のお話をいただいたところなのですけれども、いずれにしても学校に確認して答弁しております。また、状況を確認して、また周知を図っていくときにはそういった、やはり部活動は部活動ということで、実質的に継続していくというか、まずはその辺、周知をしていきたい。また、部活動方針を策定した経緯というのは、やはり一番は生徒のそういった健康とか、自由な時間とか、そういったことが一番でございます。やはり生徒のためにもそういったことは周知をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
●本庄に対し郷土愛をもつ若者を、大学・専門学校等進学時に市外に転出させない「通学費貸与・補助事業」を新たに開始し、地域社会・産業を支える人材を確保する取り組みについて
教育のまちとうたう本市には、その一つの根拠として挙げられているように多くの高等学校が立地しています。本市に生まれ育った若者の多くは高等学校までは本市で教育を受けることができるほか、他市、他県の高等学校へ進学しても、本市から通う場合がほとんどです。しかしながら、本庄に生まれ育った若者は、大学や専門家学校へ進学する際には、多くの場合、本庄に住み続けて通うか、進学先の近隣に引っ越すか、選択を迫られます。本市にとって郷土愛のある若者は宝です。せっかく本庄に生まれ育った、本庄愛のある本庄に住む若者をみすみす手放してはいけません。進学後も本庄にとどまることで、その期間も本庄でさまざまな活動をしてもらうことにつながり、それがきっかけで地元企業等への就職を希望してくれる可能性が高まります。
愛というのは、きのう、きょう、あすと、ともに過ごす時間が長いほど、日に日に深まっていくものです。在学中もすくすくと本庄愛を育てたい。そのためにも、進学を決めた若者が通学か引っ越しかの二者択一を迫られたとき、本庄から通うと判断する後押しとなる通学費貸与・補助事業を新たに開始することが本市の未来につながり、地域社会、産業を支える人材を確保することにもつながると私は考えています。これらを踏まえて、以下伺ってまいります。
1つ目として、本市の若者、10代、20代ですが、転出超過について現状を伺います。
2つ目として、新たに通学費貸与・補助事業を開始することについて、ここでは貸与、つまり返還の必要があるものと、補助、給付の事業、それぞれについての市の考えを伺います。
<答弁>
まずは、本市の10歳代から20歳代の若者の人口動向につきましてご説明のほう申し上げます。本市の住民基本台帳によります総人口、これは平成14年をピークに減少に転じてきておりまして、その主な要因としましては、少子化と転出超過、これが挙げられるというところでございます。このうち転出超過の主な要因につきましては、10歳代後半から20歳代前半の就学あるいは就職と重なる年代で転出超過が顕著であるというふうに分析をしているところでございます。
この若い世代の転出超過につきましては、直近の平成30年の、これは外国人を除くデータですけれども、住民基本台帳人口の移動報告、これによりますと、10歳代につきましては転入が121人に対し、転出が172人、51人の転出超過、20歳代につきましては転入が810人に対し、転出が969人、159人の転出超過となっております。その中で、大学や専門学校等への進学の影響があるであろうと思われます15歳から24歳の状況につきましては、転入が449人、転出が600人、151人の転出超過というふうになってございます。また、その転出先の内訳でございますけれども、埼玉県内が233人、埼玉県外が367人となってございます。そのうちでございますけれども、367人のうち東京都が137人となってございます。
その一方で、全年齢での転入転出動向につきましては、平成27年まで転出超過の傾向がございましたが、平成28年には187人、平成29年では58人の転入超過に転じてございます。そのほか平成30年では再び転出超過となったものの、その人数につきましては年間で9人での転出超過となってございます。以前と比較いたしますと、転出超過の状況は改善傾向にあるのではないかなというふうに見てございます。
また、10歳代、20歳代で一旦は転出超過となるものの、その後、30歳代以降で再転入となる、いわゆるUターンの動向があることも本市の特徴の一つであろうというふうに考えてございます。その30歳代の転入転出動向につきましては、平成28年では31人、平成29年では24人の転入超過、平成30年では転入転出が同数というような状況でございます。
こうした本市の特徴も踏まえました人口動向に対し、いかに若者の転出抑制を行っていくか、また転入促進を行っていくか。4つの分野ごとに施策をまとめたものが、平成27年度に策定いたしました本庄市まち・ひと・しごと創生総合戦略でございます。この総合戦略では、しごと分野、それから、ひと分野、まち分野、そして4つ目に魅力創造分野で、それぞれの施策に取り組んでいるところでございます。
特に本市では、30歳代、先ほど申し上げましたとおり、30歳以降でのUターンの特徴があることから、それを支援し、転入者を増加させるための魅力発信が効果的と捉えまして、平成30年度より本庄市住まいる応援金制度、これを開始し、30歳代前後の子育て世代の転入に焦点を絞りまして、若い世代の転入促進を図っているというところでございます。こうした総合戦略の各事業の取り組みによりまして、近年の転出超過傾向の改善に、少しずつではございますけれども、効果があらわれてきているのではないかなというふうに考えてございます。
次に、議員ご提案の通学費貸与・補助事業につきましてでございますけれども、他の自治体におきましても、こういったご提案の内容に類似する施策を実施している自治体がございます。その一部事例を、通学に要する費用に対する貸与型と給付型の双方につきましてご紹介をさせていただきたいと思います。
このような事業を行っている自治体は、主に地方部で、新幹線や特急等の速い列車、速達列車の停車駅がある自治体が多いようでございます。まず、貸与型の例で見ますと、1カ月当たりの上限額は3万円から5万円程度、また通学に要した費用のうち一部貸与または全額貸与など、さまざまな事例があるようでございます。さらに、卒業後の返還期間中に当該自治体に居住した場合には、その一部または全額の返済が免除というような事例もあるようでございます。
また、補助の場合の例で見ますと、1カ月当たりの上限額は1万円から2万円程度の補助で、通学に要した費用のうち、一部の補助を行っている自治体が多いようでございます。
次に、本市の15歳以上の学生の通学状況につきまして、平成27年の国勢調査によりましてご説明させていただきたいと思います。本市に住んでいらっしゃる高校生を含めた15歳以上の通学者は、全体で3,872人ございました。その通学先の内訳でございますけれども、市内への通学が1,671人、本市以外の県内への通学1,198人、県外への通学者は875人でございます。この875人のうち、東京都への通学者は431人という状況でございます。本市から東京都内へ通学する場合、自宅から学校までの所要時間は、自宅や学校の場所にもよりますけれども、在来線ではおよそ2時間程度要するのではないかということだと思います。このため、通学に要する時間を考慮いたしますと、自宅から通うか、ひとり暮らしをするか、ちょうど判断が分かれる程度の所要時間であるのではないかなというふうに捉えております。
また、先ほど申し上げましたように、通学かひとり暮らしかを判断する大きな要因としましては、学校までの所要時間がございます。このため、新幹線、本庄早稲田駅があることの優位性を生かして、新幹線通学に要する費用の一部を貸与、補助することで、通学の所要時間を在来線通学の半分程度に短縮できる。こういったことができれば、自宅から通うという方がふえるきっかけの一つになるのではないかなということも想定されます。
その一方で、その実現に向けましては、幾つかの課題もあるのではないかなというふうに認識しております。給付型の補助の場合ですと財政的な負担も大きいということから、限られた財源の中で事業効果を踏まえ、他の施策との優先順位等考慮しながら総合的に検討していくことが必要だというふうに考えてございます。また、貸与の場合ですと、財政的な負担は一時的なものにとどまりますが、その後の債権管理等含めました長期的な制度設計、あるいは体制を整えていくことも必要だというふうに考えてございます。
加えまして、学生の進路は、その学生自身の意思により自由に選択されるべきものであり、大学等の所在地により助成の有無を決定していくことやひとり暮らしを対象外とし、通学費用のみに貸与、補助を行うことについて、公益性あるいは機会の均等といった補助金等の適正化の観点からも、しっかりと整備を行う必要はあるのではないかなというふうに考えてございます。
若者の転出抑制、これは非常に大きな課題でございます。それに対しまして現在実施しております本庄市まち・ひと・しごと創生総合戦略における移住、定住施策の効果検証も踏まえまして、本市にとりまして、より効果的な施策について、議員ご提案の通学費貸与・補助事業も含めまして、他市の状況等も参考に研究を行ってまいりたいというふうに考えますので、引き続きご指導賜りたいと存じます。
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