①本庄市の文化財施設をめぐる諸問題について②市内小中学校におけるLGBTの現状について(2018年第3回定例会・一般質問)

●本庄市の文化財施設をめぐる諸問題について

 本庄市総合振興計画では、「あなたと活かす みんなで育む 歴史と教育のまち 本庄 ~世のため、後のため~」という目標が掲げられております。本市の歴史と文化財について、広く一般に教育する施設である博物館、本市においては文化財施設と呼び博物館類似施設となっています。の充実は、市民が郷土の歴史に対する理解を深め、児童生徒の郷土愛を醸成し、また社会教育施設として成人の学びにも活用でき、そして歴史と文化が薫るまちとして市外から本庄市へ訪れる観光客をふやすことにもつながることから、しっかりとした整備、管理、運営が必要です。しかしながら、本市にある3つの文化財施設、すなわち歴史民俗資料館、塙保己一記念館、競進社模範蚕室のいずれも、今日において速やかに解決しなければならない課題、問題があることは、前回の一般質問でも取り上げ述べたとおりです。

 そこで、前回のご答弁<リンク>も踏まえ、本市の文化財施設をよりよいものに改善することを目的として、以下伺ってまいります。

 1つ目として、歴史民俗資料館の問題について伺います。前回の答弁で、開館当時歴史的な建造物を活用して地域の文化財を展示するという流れがあったと説明いただきましたが、それはそのとおりで、経緯については私も把握しているところです。しかしながら、私が伺ったのは歴史的経緯ではなく、今現在、きょうここに至って課題だらけの旧本庄警察署を利用し続けているのは、どのような判断によるものかということについてです。

 ご承知のように歴史民俗資料館は、入り口から階段があり、展示室にも段差があり、夏は暑く入り口や窓を開放しているため蜂が館内に入り、冬は寒く2階展示室へ上がる階段も急でエレベーターもありません。このようにバリアばかりで、さまざまな方が利用できるようにしなければならない公共施設でありながら、健康な人、足腰の丈夫な人のみが来館できる施設となっています。また、大きな地震等災害時の建物と展示史料、そして来館者の安全安心上も問題があります。加えて、根本的な問題として、本市の歴史について展示する施設としては展示スペースが不足しています。問題点はまだまだありますが、今述べた問題点から、旧本庄警察署の建造物も含めて見てほしいというメリットを差し引きしても、きょう現在旧本庄警察署を文化財を展示する施設として活用することは、デメリットばかりで問題であると判断できると思いますが、市としてどのような考えで今日現在も文化財施設として活用しているのかについて明確にお答えください。

 2つ目として、来館者をふやす取り組みに対する問題について伺います。前回の答弁では、新たにワークショップや発掘現場の見学会を開催して文化財に親しみを持ってもらうことを考えているとのことでしたが、文化財保護課としてその取り組みで本当に来館者がふえると分析しているのでしょうか。また、ワークショップを行うとして文化財施設のどこで行うのでしょうか。塙保己一記念館にはワークショップが可能なスペースがあります。しかし、競進社は外のあずまや以外にスペースはなく、歴史民俗資料館は外、建物西側か南側の駐車場しかスペースはありません。発掘現場の見学会とあわせて、それらの取り組みが来館者をふやすこととどうつながるのかお答えください。

 3つ目として、展示のみの施設となっている問題について伺います。博物館の役割は、文化財を展示することだけではありません。博物館法の第2条には、資料を収集し、保管し、展示することとあわせて、これらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関とあります。郷土や所蔵する文化財の研究を発表する雑誌である紀要は、歴史民俗資料館で以前は発行されていましたが、平成19年度の第4号以降発行されていません。他2館については、そもそも発行をしていません。

 前回の答弁で、文化財施設それぞれ学芸員を配置していないが、郷土の歴史に精通した職員を配置していると答弁がありました。しかし、その職員は受付などの事務員ではあっても、学芸員のかわりにはなっていないことは現状が証明しています。博物館に学芸員を配置しなければならないのは、博物館の学芸員は博物館にあって常に調査研究をする必要があって、事実として学芸員がいない本市においては博物館は機能不全に陥っています。したがって、地域の歴史の拠点として本庄市の歴史、塙保己一、養蚕や市の保有する文化財を調査研究する機能した博物館にするためには、学芸員が必要不可欠であり、またそれは文化財施設としての当然のあり方でもあります。市としては、この現状についてどのように考えているのか、現在考えている改善策も含めてお答えください。


<答弁>

 初めに、歴史民俗資料館についてでございますが、議員ご指摘のとおり現在の状態にはバリアフリー対応ができていない、耐震強度に課題がある、展示面積が少ないなどの課題があると認識しております。しかし、文化財施設は現状を変更する改修には相当の制約があることもあり、具体的な対応を進めてくることがこれまでできませんでした。旧本庄警察署を歴史民俗資料館として利用し続けるかどうかにつきましては、これらの課題を踏まえ今後県指定文化財である旧本庄警察署をどのような形で保存活用すべきか、新設移転も含めて将来の歴史民俗資料館をどのように位置づけていくべきかなど、本市の文化財全体の総合的な活用方法とあわせて検討し、具体的な方針を策定してまいりたいと考えております。

 次に、来館者をふやすための取り組みについてご説明申し上げます。来館者をふやす取り組みにつきましては、これまでと同様の説明となりますが、PR活動や人材育成に力を入れていくことと、これまでの取り組みに合わせて体験型学習、いわゆるワークショップや発掘現場の見学会を開催するなど、文化財に親しみを持っていただくような事業の充実を図ってまいりたいと考えております。

 ワークショップや発掘現場見学会が来館者の増加に効果があると分析しているかとのご質問についてでございますが、現在本市では歴史民俗資料館、塙保己一記念館、競進社模範蚕室の3館とも来館者の統計をとっており、来館者数だけでなく来館のきっかけや興味のあるもの、見学後の感想などを伺い、来館者の動向の把握にも努めております。

 それによりますと、来館のきっかけは報道で知ったからといったものや、学校での学習、歴史に興味がある、中山道歩きでなど多岐にわたります。来館していただくためには、このきっかけづくりが重要であり、その一つとしてワークショップや発掘現場見学会といったイベントの開催が効果的であると考えております。また、感想の中でも具体的に、体験学習や現場見学の機会が欲しいとの声もいただいているところでございます。

 本市では、これまでも大規模な遺跡の発掘調査を実施した際には、発掘現場見学会を開催し、また希少な遺物が発見された場合には記者発表を行った上、歴史民俗資料館において速報展示を実施するなど、成果を広く一般にお知らせするよう努めてまいりました。平成24年に本庄東中学校の校舎建設に伴って実施した発掘調査において、日本で初めて完全な形で出土したガラス小玉鋳型の速報展示時には、前月に比べ2倍以上の来館者が訪れております。また、平成28年に開催した本庄早稲田の杜地域連携展覧会では、埴輪づくりを通じて埴輪の謎に迫るワークショップを開催しております。ワークショップの参加者からは、埴輪のことをいろいろ知ることができてよかった、体験できる機会があればまた参加したいといった声をいただいております。

 さらに、文化庁でも平成28年度に、美術館、博物館の特徴的な取り組みに関する調査事業を実施しており、来館者の増加や利用促進に効果のあった取り組みを調査しております。その中で、ワークショップやイベントの開催が有効な事業の一つとして紹介されており、また他館の実施状況から見てもワークショップや発掘現場見学会といったイベントを開催することで、来館機会を創出していくことが来館者をふやすために有効であると考えております。

 次に、ワークショップの開催場所についてでございますが、現在歴史民俗資料館の西側のスペースを活用し、民具を活用した昔の道具を体験するワークショップを行っており、今後につきましては児玉総合支所第二庁舎に準備中の展示コーナーの活用も検討したいと考えております。

 また、博物館の仕事体験など、資料館内部で開催できるものや埴輪づくりなど創作作業を伴うものにつきましては、旧本庄商業銀行煉瓦倉庫やはにぽんプラザといった施設を活用するなど、工夫により開催場所を確保できるものと考えております。これらの取り組みは、本市におきましてはまだ実績も少ないため、今後開催を重ねることでその効果を検証し、さらなる取り組みにつなげてまいります。

 次に、本市の文化財施設が展示のみの施設になっているとのご指摘についてでございますが、確かに歴史民俗資料館等博物館類似施設の機能は、資料の収集保管、調査研究、展示、教育普及活動と多岐にわたるものでございます。その中でも、調査研究は博物館活動の根幹となるもので、展示や教育普及活動などが正確な情報に基づいて行われるために必要不可欠なものであり、その成果は紀要等の形で公開することにより、広く一般に共有されることが必要であると考えております。

 現在本庄市におきましては、近年の大型開発に伴う発掘調査が複数あり、発掘調査後の整理調査や発掘調査報告書の作成に多くの人手が必要となる一方、専門知識を有する職員の退職も相次ぐなどの事情により、歴史民俗資料館に正規の職員の配置ができていない状況であり、紀要につきましては平成19年度の第4号以降発行に至っておりません。それにかわるものとして、平成23年度から毎年市民の皆様向けにわかりやすい内容を心がけた「本庄市郷土叢書」シリーズを刊行しております。これまで「本庄市の養蚕と製糸」、「本庄市の鎌倉街道と中山道」、「本庄市の武蔵武士」、「塙保己一の生涯」、「本庄市の遺跡と出土文化財」、「本庄市の地名―本庄地域編―」、「本庄市の地名―児玉地域編―」と7冊を刊行してきましたが、大変好評をいただいているところでございます。

 このように現在取り組んでいるものでございますが、今後につきましては議員ご指摘のように調査研究を行う拠点としての整備について検討してまいります。

 また、学芸員の配置につきましては、市といたしましても将来を見据え専門知識を有する職員の確保が必要であると感じており、学芸員資格を有する職員の採用に取り組んでおりますが、全国的な人材不足の中、確保が難しい状況もございます。今後も取り組みを続けることとあわせ、職員の人材育成にも力を入れてまいります。

 本市の歴史や文化を内外にPRするため、重要な拠点として位置づけられている文化財展示施設を中核とし、建造物、史跡等、周辺に所在する多様な文化財を有機的に結びつけることによって、地域の歴史や文化への理解を深め、ひいてはまちづくりや観光の振興につなげるような活用方法も期待されるところでございます。こうした文化財展示において核となる施設が不十分であることは認識しておりまして、補完的には早稲田リサーチパーク・コミュニケーションセンターの2階の情報資料室を使って、早稲田大学と連携した本庄早稲田の杜地域連携展覧会を平成24年度から企画してまいりました。その後、昨年度より早稲田大学との協議を進めており、こうした連携を発展させ市と大学の双方が所蔵する文化財や資料を有効に活用する方策について検討いたしております。

 なお、平成17年5月に本市と早稲田大学との間で結んでおります基本協定におきましても、文化の育成、発展に関し必要な支援と協力を行うと規定されております。こうした動きをさらに発展させ、本市の文化財展示施設の諸課題の解決と、本市の有する貴重な文化財の活用について、よりよい方法を検討してまいりたいと考えております。

 文化財は、これまで地域が歩んできた歴史の中で多くの人々の努力により守り伝えてきた市民共有の財産であることを認識しております。今後、関係機関との連携を深めながら、より効果的な保護、活用が行えるよう努めてまいります。


◆再質問◆

 1点目として、来館者アンケートについて伺います。来館のきっかけ等を情報収集して分析しているというご答弁がありましたけれども、確かに、私の記憶にある当初より歴史民俗資料館は入館する際に記名する方式でしたが、最近やめています。私自身も、あるいは東京などから友人が本庄市に来た際には、歴史民俗資料館に行きます。そうすると、確かに館の職員の方は事務室より出てくることはあるのですけれども、「なぜ来たのですか」とか、「どういう感想持ちましたか」と聞かれたことは、何度も私行っておりますが、一度もないのです。ですから、どうやってアンケートとっているのかが疑問です。

 2つ目として、「叢書シリーズ」を、紀要のかわりにつくっていますとおっしゃっていました。私自身も叢書については全巻持っていますけれども、序のところで、「郷土学習の資料として」というふうに書いてあります。先ほどもご答弁あったように、紀要というのは研究の発表の場です。叢書シリーズは、読む人にわかりやすく書かれたものであって、趣旨が異なります。ですから、叢書シリーズを出していることは紀要を発行しないこととリンクしないのではないかと私は思うのですけれども、その辺のお考えを伺います。

 3つ目として、全国的に学芸員が不足しているというご答弁ありましたけれども、私自身も学芸員資格を持っています。そして、私の同級生や先輩・後輩等、学芸員資格を持っていて博物館で仕事がしたいが就職できない、という人がいっぱいいます。全国の大学の学芸員養成課程でも同じような状況で、資格を取得する際に担当教員より説明されると思いますが、学芸員の数に比例して採用が少ないというのが日本においては近年長らく続いています。従って、ご答弁にあるような状況はないと私は認識しておりますが、どのような根拠で人材不足と言っているのかな、と疑問です。

 4つ目は、私自身驚愕したことですが、先日、塙保己一記念館に行った際、1人の職員の方が、スチールの机の上で文書らしき史料を広げて作業していました。窓際で、です。外気にも触れやすい、入口入ってすぐ脇、右側の事務室で作業していました。もちろん、その場で指摘はしませんでしたが、その方に「史料整理室って、記念館にはあるのですか」と聞いたら、「ある」という答えでした。では、なぜ、事務室で史料の整理をしなければならないのでしょうか。

 私が学芸員の配置を求めているのは、まさにこういうところ、つまり大切な史料、市民の宝である文化財に問題が生じる可能性が高いからなんです。

 どうしても、史料の取り扱いに対する適切な知識・理解が無い、大学等で専門的に学んでいない、学芸員資格のない人に史料の整理をしてもらわなければならないのであれば、最低でも資料の取り扱いであるとか、どういうふうにしなければいけないということをちゃんと研修しなければならないはずです。そして、していないから窓際で整理するということがおこるのです。どうして研修をしないのか、まさかとは思いますが研修をしているのだとすれば、研修を受けたのに、どうしてそんな環境で史料整理をしているのか疑問です。


<答弁>

 1点目のアンケートということでございますが、アンケート用紙を用意しておいて書いていただくというふうな形でなく、議員のほうからもご紹介ございましたとおり、来た方に職員が聞き取り調査を行うというふうな形で把握をしております。なかなか全員の方全てについて聞き取りということは難しいわけですけれども、おおよその傾向ということはつかめるというふうに考えております。

 それから、2点目、叢書と紀要ということについてのご質問でございますが、それぞれ目的は違うということは認識しております。紀要につきましては、登録博物館であれば当然発行して調査研究したことを出す、研究したものを発行していくというふうなことが必要というふうに考えております。そうした中で、先ほども申しましたが、なかなか人的な配置等の関係もございまして、平成19年度以降、紀要については発行されていないという状況でございまして、かわるものと言えないかもしれませんが、市民の皆様に本市の歴史についてわかりやすく説明するものとしての叢書を発行して、ここまで来ているところでございます。

 次に、学芸員の不足ということについてでございますが、博物館法にも規定されております専門職員で登録博物館には必ず置かなければならないということでございますけれども、全国的に今引っ張りだこなのです。ほんの数年前までは、余っているという言い方も変ですけれども、そういう状況はあったのですけれども、いろいろな施設、あるいは自治体の、そういう専門性のある学芸員と言われている方の退職期にも重なってきているのです。それで、今人材が不足していて、なかなか確保が難しいという状況でございます。

 本市におきましても、今年度実施の職員採用試験では、一般職、事務職、埋蔵文化財ということで1名程度ということで応募をかけているところですけれども、なかなか厳しい状況でございます。

 それから、4点目の記念館等の職員の研修等ということでございますが、文化財保護課の経験者ということで、既に資料の扱いであるとか、本市の郷土の歴史、あるいは塙保己一のこと等々につきましては熟知していると、学芸員資格はあるなしにかかわらず、専門性は持っているというふうに考えているところでございます。


◆再質問◆

 最後の4点目について、「専門性を持っている」ということでしたけれども、私が見たときは文書史料を広げていたのです、おそらく江戸時代のものかな、と思うのですけれども。もし本当に専門性を持っているなら、そんなところで資料の整理できないと思うのですけれども、その辺は今後努力して頂きたいことであり、しっかりと教育していただきたいなと思うところです。

 さて、教育長も答弁でおっしゃっていたように、きっかけづくりが大事だということであって、私もそのとおりだと思っています。

 本市が圧倒的に欠けていることがありますので、それを指摘しながらきっかけづくりとはどういうことかということを私の考えを申し上げたいと思うのですが、やはり博物館とか、本市においては文化財施設なのですけれども、きっかけをつくってあげること、歴史好きに繰り返し来てもらうこと、この2つが非常に重要なのだと私は考えているのですが、そのための工夫が本市は全然されていないと。それは、企画展をやっていないということなのです。早稲田リサーチパーク・コミュニケーションセンターとか、あるいは今度9月22日から旧本庄商業銀行の煉瓦倉庫で「明治を生きた本庄の偉人たち」というパネル展が行われますけれども、これらの取り組みには、本市は2つ問題があると思っています。1つは、質と量ともに企画展と呼べるほどの規模とか内容のものではないということ、もう一つは会場があちこち変わってしまうということです。

 博物館は、地域の歴史に関する拠点なので、そこに行けば、ワークショップや講座、企画展や常設展の展示替えなど、様々な工夫がなされ、いつ行っても、何度行っても、歴史について学習できる場だ、と市民や歴史ファンから認識されることが大事なのです。

 しかし、本市では、企画展とは言えないパネル展という規模のものですが、やることについては良いことです。しかし、拠点が定まらず、様々な場所でその時々にやると、歴史的な催しに敏感な人でさえ、見落としてしまう可能性があります。常に高いアンテナを張っていないと、催しがわからない、という状況が本市にはあります。

 一つの場所、拠点たる博物館でしっかりとした企画展が定期的に実施できれば、先ほど述べたような歴史ファンはもちろん繰り返し来ます。加えて、「今回の企画展のテーマおもしろそうだから行ってみよう」と思って来館した人が常設展示も見て、こんなおもしろい施設があったのだということを認識でき、ファンになってもらうきっかけができる。

 本市の今度行われパネル展は、それを見ることを目的に旧本庄商業銀行煉瓦倉庫に行ったところで、展示はそれしかないので、きっかけができないのです。もしかして、たまたま職員の人が、見学者に「資料館もあるのでどうぞ」と案内があったりすれば、きっかけに繋がるかもしれませんが。しかし、ついでに見るよりも可能性は低く、3館ある文化財展示施設に来館するきっかけをつくる、ということにはなかなかつながっていかないというふうに私は思うのです。

 ここでご紹介したいのは、よく市の考えがあらわれている、本庄市の文化財案内という市作成のチラシです。一番上のところに、「ぜひとも一度はご来館していただき」という文章があります。そのままの意味に異論はありませんが「ぜひとも一度はご来館していただき」というのは、資料館のスタイルとしては好ましくないのです。一度ではなく、何度も来てもらうということが大事なわけです。その工夫を、していかなければいけない。

 しかしながら、1回は来てください、というような案内文になっている。しかし、まさに現在の本市の文化財施設の状態を表していると思います。実際今2回行ったところで、確かにこれは1回でいいなというふうに思われるような展示内容になっているということは事実です。

 例えば歴史民俗資料館は、ご案内のように展示スペースが限られています。だから、ないところにどうしようもできないではないかというような意見もあると思いますけれども、本当にどうしようもできないのかというのは疑問なところで、例えば日本相撲協会が運営している相撲博物館というのが東京にありますけれども、ここはすごく狭い、展示室が1つしかないのです。だけれども、常設展示をやめて年6回展示会をするという工夫をして人を集めています。もし、展示替えによる史料への負担を考慮して頻繁に展示は変えられないということであれば、常設展示を入れ替えるのではなく、せめて場所を定めて定期的、計画的に企画展をするということは、本市ができないことはないと思うのです。

 例えば、しっかり企画展が行われている近隣自治体があります。川向こうで隣り合っている群馬県佐波郡の玉村町です。人口3万6,000人の町です。玉村町の歴史資料館は、平成7年の開館当時から企画展、特別展をそれぞれ毎年実施しています。それとは別に、ミニ企画展として多い年で4回、平均して3回程度、テーマに沿った展示をしています。歴史に関する体験学習会、歴史講座も毎年充実しています。9月30日まで、私もこの間行ってまいりましたけれども、「医療と玉村町」という企画展をやっていまして、これが第23回目の企画展となっています。後ほどご興味があれば行ってもらえればと思うのですけれども、カラーで非常にしっかりした企画展の冊子もつくって無料で配っているのです。最後のページには、地域包括ケアシステムと玉村町の医療、介護行政についても書かれていて、まさに過去と現在をつなぐ地域の歴史拠点となっているわけです。館内には学芸員が2人おりまして、考古が専門の館長と主に近世を専門としている職員が1人いるということです。2人で協力し合って特別展、企画展、ミニ展示等をつくっているとのことでした。あわせて、館内に行きますとマスコットキャラクターがいたり、江戸時代のかごに乗る体験ができたり、インスタグラムで写真が撮れたり、塗り絵が描けたり、子供に対する工夫も満載でした。

 これらを踏まえて、改めて伺います。来館者をふやすためにも、きっかけづくりが必要だというのは教育長も認識をしているところで、先ほどご答弁でも東中の発掘のとき出たから、小玉鋳型のときは前年度比2倍になったということだったのですけれども、まさにそういうことで、企画展示でちゃんとそうやって展示物をかえてあげれば人は来るのです。いつ行ったって同じようなものしかないというふうに思われているから、来館者が伸びないということだと思うのですけれども、玉村町のしっかりとした企画展や特別展をやっている現状も踏まえて、本市で例えば計画的なしっかりと内容のある冊子を発行できるような企画展とか特別展とかミニ企画展、体験学習会、歴史講座ができていない現状、なぜできないのか。加えて、子供向けの来館者に対する工夫も特に行われていないような気がするのですけれども、それらについて本市はどうしていまいちできていないのかというのを、市の考えを伺いたいと思います。


<答弁>

 きっかけづくり、今企画展ということでご質問があったところでございますが、歴史民俗資料館につきましては展示スペース等限られている条件の中で、なかなか企画展を開催するということが難しい状況がございます。特別展示としては、先ほども紹介させていただきましたが、本庄早稲田の杜地域連携展覧会というふうなことで、市内で出土した文化財等を公開したというふうなことをやっておりまして、この地域連携展、私毎年当然行くわけですけれども、見に来られた方が、そこに来たことをきっかけに歴史民俗資料館どこにあるのですかとか、パンフレットくださいとか、そういった声は私自身も聞いております。

 いずれにいたしましても、企画展の重要性ということについては私ども認識しておりますし、それが来るきっかけになることも重々理解しているつもりでございます。現在の状況の中では、どういったことができるか、現在の条件の中でどういったことができるか、そういったことにつきましては、先ほど玉村町の例などもご紹介いただきましたので、他の施設等につきましていろいろ調査研究をさせていただけばというふうに思っております。


◆再質問◆

 本市の努力不足というか、工夫が、こういうことができるのではないかというのを上里町の郷土資料館の取り組みを紹介して伺ってまいりたいと思いますが、上里町というのはご存じのとおり人口3万1,000人の町です。図書館と一体化して、平成5年度より郷土資料館が設置されています。特別展示室もあります。郷土資料館では、12ページ程度のA3のコピー用紙につくった6枚を真ん中でホチキスでとめた冊子なのですけれども、「かみさと郷土史研究」というものを平成28年度に刊行して、私の手元には6号までありますが、4号の編集後記には、資料館にはいつどこで採取されたかはっきりしない土器や石器が保管されていて、せっかく長い年月生き抜いて現在に残った遺物を紹介するために発行するのだと理由が書いてあります。一般の方からの原稿も募集していて、郷土の歴史について研究したものが掲載されています。研究紀要も第14号が私の手元にあります。

 展示館にスペースがないということは私も認識しているところでして、「歴史と教育のまち」の本市こそ、先ほど紹介した上里町の冊子のようなものであれば、展示のスペースは関係ないのでつくることができるし、工夫できるのではないかなと思っています。

 比較的お金もかからなそうなこういった工夫が本市においてできていない現状に、ちょっと残念だなというふうな感情を持っています。文化財施設にただ人だけ置いて、研究もしていないわけです。きっかけづくりや工夫も余りしません、ということになってくると、何で3つも文化財施設があるのか、何のために存在するのか、と、存在自体が疑問視されかねないのです。できる工夫を一つ一つ行っていく、近隣自治体の事例も参考にしながら、何なら本庄市でもできるか、という分析をしてやっていくことが、まずは重要、第一歩だと思います。例えば本市では、ほかの自治体に比べてこんな取り組みがある、こんなすばらしいことをやっているということがあればご紹介いただきたいのと、何でこういう簡単な郷土史研究みたいなものがつくられていないのかということもあわせてお伺いしたいと思います。


<答弁>

 まず1つ、情報の発信ということについてでございますけれども、今後市の広報であるとかホームページの掲載なども含めて、資料館からの情報提供の方法について検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 そしてもう一つ、本市からのそれ以外の取り組みということでございますが、例えば競進社模範蚕室であれば高山社との連携の中で、お互いに高山社に来た方が競進社のほうにも来ていただくようなパンフレットの交換や情報の交換等やったりであるとか、あるいは近隣の博物館等と連携してのウオークラリーとか、そういったことをやっているところでございます。



●市内小中学校におけるLGBTの現状について

 LGBTとは、同性を愛する者、両性を愛する者、身体的な性別と心の性別に違和を感じる者を指す言葉で、それぞれ英語でレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとったものです。LGBについては性的指向、Tについては性自認に関する類型です。現在では、LGBTに含まれないクエスチョニングなどを含めた性的指向及び性自認という意味のSOGIという表現も出てきてはいますが、ここでは広く一般に知られるLGBTを用います。

 有史以来、LGBTと言われるようになる以前から、これらは日本においても見られるものですが、近年これまでのややもすると差別的、あるいは見なかったこと、聞かなかったことにする風潮に変化が起きているところです。教育においては、文部科学省が2015年に都道府県の教育委員会などに通知、翌2016年には教職員向けにLGBTの生徒に関する手引きを発行しています。2017年に改定されたいじめ防止基本方針においても、LGBTの生徒に配慮する旨の記載があります。

 本市は、盲目の偉人塙保己一先生の生誕の地であり、また教育のまちでもあることから、ほかの自治体に率先してみんなに優しいまち、そして教育に力を入れるべきだという観点から、以下伺ってまいります。

 1つ目として、現在とこれまでのLGBTに対する状況について伺います。これまで本市の小中学校において、身体的な性別と心の性別に違和を感じる者、すなわちトランスジェンダー等で身体的には男性だが女性の服を着たい、あるいはその反対などに関し、当事者や保護者から学校へ相談や検討、あるいはまた実際に対応したことがあるかないかをお答えください。また、学校としてLGBTがいるかいないのか、申し出る機会や相談する機会をつくっているのかいないのかについてもあわせてお答えください。

 2つ目として、教員に対する理解促進の取り組みについて伺います。本市として教職員に対し、LGBTの理解促進のための研修や講習、勉強会を行っているのかいないのかについてお答えください。

 3つ目として、児童生徒に対する理解促進の取り組みについて伺います。各学校において、全校集会、講演会、または道徳の時間など、本市独自にLGBTについての理解促進に向けた取り組みをしているのかしていないのか、お答えください。


<答弁>

 本市の小中学校でのLGBTの相談状況でございますが、直近の3年間で小学校1件、中学校1件の相談がございました。なお、この小学校1件と中学校1件は、同じ保護者から小学校段階、中学校段階それぞれで相談されたものでございます。

 相談の内容につきましては、プライベートなこともございますので、詳しい内容については申し上げることができませんが、外部機関とも連携しながら対応しております。

 次に、LGBTの児童生徒やその保護者が申し出る機会や相談する機会についてでございますが、LGBTに限定した機会は設けておりませんが、各学校ではさまざまな悩みを相談できるよう教育相談主任を中心に、児童生徒が悩みを打ち明けられる可能性の高い養護教諭や担任を初めとして、校内での教育相談体制の充実を図っております。また、三者面談などの保護者と児童生徒、担任が学校生活などのことを相談する機会等々も設けているところでございます。さらに、本市では子どもの心の相談員、さわやか相談員、スクールカウンセラー等を配置し、児童生徒、保護者が悩みを相談しやすい環境づくりに努めているところでございます。

 次に、本市の小中学校教員のLGBTへの理解促進についてご説明いたします。まず、毎年管理職や人権教育担当者が県で実施されます人権教育研修会に参加しておりまして、今年度の研修会ではさまざまな人権課題として、性同一性障害を初めとした性的マイノリティーについての研修を行っております。各学校では、その研修内容を教職員に報告する機会を持ち、校内での理解促進を図っているところでございます。

 また、各学校では年間の研修計画の中に人権教育に係る研修を位置づけておりますが、その中でさまざまな人権課題の一つとして、性同一性障害を初めとした性的マイノリティーを扱っております。学校で扱う主な人権課題としては、女性、子供、これにはいじめや児童虐待が含まれておりますが、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、HIV感染者、ハンセン病患者等、刑を終えて出所した人、犯罪被害者等、インターネットによる人権侵害、北朝鮮当局による拉致問題等、そしてその他として性同一性障害者の人権、人身取引、ホームレス等が取り上げられており、全ての人権課題を毎年行うことはなかなか難しい状況でございますが、いじめ、障害者、インターネット、同和問題につきましては重点的に行っている状況です。性同一性障害を初めとした性的マイノリティーの研修については、昨年度あるいは今年度、実施または実施予定の学校は、小学校で7校、中学校で2校でございます。

 今後も教職員の性同一性障害を初めとした性的マイノリティーに対する正しい知識と理解を促進するため、県が実施している研修会への参加や、国や県から出される通知資料等の情報提供により校内研修の充実を図ってまいります。

 続きまして、児童生徒に対する性同一性障害を初めとした性的マイノリティーにかかわる学習につきましては、昨年度あるいは今年度、実施または実施予定の学校は、小学校2校、中学校2校でございます。いずれも人権学習や学級活動の中で取り上げております。

 教育委員会といたしましては、教職員の正しい理解の促進と適切な対応等についての研修の充実に努めるとともに、必要に応じて外部機関との連携や組織的な対応について、学校に対して支援、助言を行ってまいります。


◆再質問◆

 小学校で1件、中学校で1件の相談が同じ保護者からあったということで、もちろんその内容についてはプライベートな内容だと思います。

 ここで、1つ再質問させていただきますのは、やっぱりそういう事例を聞いていると、校長先生によっては君のわがままだから、そんな体の性別と違う制服を着るなんて式自体に威厳がなくなるとか、自分が我慢しろと、君のせいでみんなに迷惑かけるのかというようなことを言われたという事例もよく聞くことであります。

 そこで、事情はともかく市の教育委員会としては、そういった相談があった場合は、基本的には異なった制服を着たり、あるいはジャージ登校してもいいよとか、そういう対応を許可するつもりがあるのかないかということをお聞きしたいと思います。


<答弁>

 そういう申し出があった場合、制服等の扱いについてどうなのかというご質問でございますが、それは子供第一に考えて保護者としっかり話し合って、一番適切な方法で対応していくということになろうかと思います。


◆再質問◆

 2つ目の教職員の研修と関連するのですけれども、学校教育の場では、よく「らしさ」ということが語られることがあります。これも非常にLGBTの生徒にとっては心に負担をかける言葉す。

 教員というのは、その「らしい」という言葉が好きな先生もいて、中学生「らしい」とか、高学年「らしい」とか、男「らしい」とか、女「らしい」とか、本校の生徒「らしい」とか、なになに部員「らしい」、こういうふうに、生徒指導をはじめとする指導の際に語られることが多いわけですけれども、LGBTの生徒が学校においてこういうことが大変だったというのを語るときに、この「らしさ」という指導が否定的な用法で用いられたときに心に負担を感じることが多い、すなわち男「らしくない」とか、女「らしくない」ということを指導されるわけです。

 こういう教師のジェンダー感に基づいた半強制的な教育というか、教師の持つジェンダー感を児童生徒に植えつける行動によって、LGBTの生徒、あるいは児童が受けるストレスというのは結構大きいものなのです。偏った考え方であるとか、教師のジェンダー感を見詰め直す機会、あるいは教師の研修とか学び直す機会というのを本庄市として、先ほど聞いた中では特にやっていないようなのですが、今後どのように取り組みたいかということをお伺いしたいと思います。


<答弁>

 「らしさ」ということからお話をいただいたところでございますけれども、確かに男らしさとか女らしさとかというふうな言葉の中に傷つく子供もいるということはあろうかなと、そのことについては認識しております。やはりそういった言葉を使うことについても配慮が必要であろうと思っております。

 この問題につきましては、教職員がしっかり理解するということが大事だというふうに思っております。さまざまな調査でも、一定数性的マイノリティーに該当する者がいるというふうなことも出ておりますので、どの教室、どの学校にも該当する生徒はいるのであろうということを想定して、教職員自身が差別や偏見を助長するような発言があってはならないわけでありますので、やはり教員にはきめ細かい配慮であるとか対応がより一層求められております。いずれにいたしましても、教員の無理解から差別を助長してしまったり、子供が傷つくようなことがあってはならないというふうに考えているところでございます。

 教職員への研修につきましては、先ほども紹介させていただきましたが、県の研修会等の報告、その他今各学校でも、まだ去年、ことしの数でいいますと全校には至っておりませんが、それぞれの学校において今いろいろな工夫が始まっております。性同一性障害者を講師として招いて先生方にお話をしていただくとか、あるいは視聴覚教材を使って先生方が勉強するとか、そういったことがここ数年で一気に始まってきておりますので、そういった取り組みを市内の中で共有しながら、教職員の理解促進に努めてまいりたいというふうに考えております。


◆再質問◆

 本市では、事例があるかどうかというのは、ちょっと過去3年間のご答弁でしたのでわかりかねますけれども、例えばこれは身体的性と心の性が異なる対応をした学校で起きた問題なのですけれども、学校がそれを認める、では別の制服を着てもいい、あるいはジャージで過ごしてもいいということになったとしても、学校自体の環境が整っていないと、結局その当該生徒あるいは児童が苦労する結果になったということが多々あります。例えば教職員の手引きにも、トイレは職員用を使ってもいいよ、あるいは多目的トイレを使ってもいいよというふうに認めるとあるのですけれども、そこまでいちいち、行かなければいけない。

 それはまだ努力はできるとしても、学校でプールに入る際に、着替えるのをどちらですればいいのか、どちらでも抵抗があれば教職員の更衣室を使ってもいいよ、あるいは多目的トイレ使ってもいいよというふうに認めた例もあるのですけれども、その場合、その児童生徒は、水着で校内を移動し、プールまで行かなければいけないわけです。

 現状、そういった児童生徒がいないとしても、そういった児童生徒がいたときに、市内の各学校ではどういうことが問題になるのか、どういう対応があらかじめ想定してできるだろうかということを本市として洗い出しというか、検討・分析を、しているのでしょうか。

 実際に申し出があったときに工夫しよう、では、、中学校だったら3年間、小学校だったら6年間しかないわけですから、工夫をしている間にその生徒は卒業してしまうわけで、前もって何か考えておくということが大事だと思うのですが、今の本市の検討であるとか取り組みの現状をお伺いします。


<答弁>

 そういう該当の児童生徒がいた場合の対応に備えて、あらかじめ準備をしておいたほうがいいのではないかというお話かと思いますけれども、今トイレ改修を進めておりますので、多目的トイレについては順次整備が進んでいるところでございます。

 個々の児童生徒への対応につきましては、それぞれケースによって親御さんの考え方も違いますので、それらを想定して準備しておくというふうなことについては、なかなか難しい面があるのかなと思っております。やはり相談をしっかり受けとめて、子供にとってどういう方法がいいのかということをしっかり考えていくというふうなことが大事なのかなというふうに思っております。


うちだ えいすけ 【本庄市議会議員 内田 英亮】/Official Website

美しい、本庄へ。あなたと うちだ えいすけ の、愛あるまちづくり -本庄市議会議員・内田 英亮のオフィシャルウェブサイト-