【討論】損害賠償の額の決定及び和解について(2020年第3回定例会・賛成討論)

 第78号議案 損害賠償の額の決定及び和解について、建設産業常任委員長報告のとおり、賛成の立場から討論を行います。

 この議案は、児玉南土地区画整理事業において、町の廃棄物の埋立地であった土地、つまりごみが埋まっている土地を、行政側がそれを知らせず、本議案の相手方に換地したことにより発生した問題で、市に責任があるため、地中の廃棄物の撤去費用9,771万3,000円を支払うことで相手方と和解したいというものです。

 土地区画整理法の第89条、照応原則には、換地設計に当たっては、換地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が従前地と照応するように定めなければならないと定められており、今回の件は法律に違反したことを行った問題のある事務の執行である。廃棄物を適切に処理していれば、起こり得なかった問題、すなわち土地に対するイメージや価格変動を含む風評被害を引き起こすきっかけとなりかねない問題であり、本議案の相手方のほか、近隣の住民、またこれから住む住民に対しても影響を与えかねない問題である。

 問題の根本的な原因として、行政側が事務処理を適切に行わなかった点に原因があることは明らかであり、撤去済みと判断した根拠である平成26年に作成した資料が、当時の複数の担当の関係者より聞き取りで作成されている点、そもそも文書として記録が残っていない点は、行政における文書の作成及び文書の管理が適切に行われていなかったことによる証左であります。いかに児玉南土地区画整理事業の期間が長く、複数の職員が関係していたとしても、本来当然のことである文書を残しながら適切に事務を執行していくべきであったということは言うまでもないことであり、結果として、今回9,771万3,000円という多額の税金を使用する結果となったことは、大変憂慮するべき問題である。

 しかしながら、今回宅地造成をきっかけとして過去の過ちが判明し、問題のある事務の執行により起きてしまった廃棄物の残地について、市がその瑕疵を認めて損害賠償を本議案の相手方に対し支払うとしたことを1点目として評価する。

 また、今回の問題の根本である資料の作成、保存の仕方について、行政としては資料を残しながら仕事を進めていくのが基本であって、今後については今回の反省を踏まえ、適切な事務の執行に注力してまいりたいと述べ、今回の問題と、その原因である文書の保存管理に関して猛省している点を2点目として評価する。

 そして、今回の問題で何よりも傷つき精神的な苦痛を受けたのは、本議案の相手方であると断言できるが、本議案の額である9,771万3,000円の内訳は、廃棄物の処分費6,354万円、運搬費2,088万円、撤去作業に係る費用273万円、埋め戻しの土の費用等168万円を合計した8,883万円に消費税となっており、廃棄物の撤去に係る費用のみとなっていることは、ひとえに本議案の相手方のご理解とご協力、ご配慮のたまものであり、3点目としてこれを評価する。

 最後に、現在当該地の近隣において、市が有する土地の一部には廃棄物が埋まっているものの、環境への影響として、現在までに有害物質の報告がなく、平成23年に隣接地で土質調査を行った結果、法定基準値を超えるものは検出されておらず、環境に影響がない、イコール、人体への影響は今のところはないと市側が答弁したので、当該地や近隣に住まう方々の何よりも大切な命に影響を及ぼすことはないと判断し、これを4点目として評価する。

 以上4点の評価を踏まえ、第78号議案 損害賠償の額の決定及び和解について、今回本庄市議会として、この議案は可決するべきものと判断できるため、賛成の意を表し、私の賛成討論といたします。