【質疑】第78号議案(2020年第3回定例会・議案質疑)

●第78号議案 損害賠償の額の決定及び和解について

 児玉南土地区画整理事業のうち、平成28年度までに換地した旧児玉町所有地の地中に廃棄物が残置されていたことにより、市としては9,771万3,000円もの税金が投入されることになり、また相手方及び現在の所有者にとっては、廃棄物が埋まっていた土地を買ってしまったことによる不利益が発生することが想定されます。そこで、5点伺います。

 1つ目として、昭和30年から40年代にかけ町営事業(当時の児玉町)で収集した家庭ごみを埋め立てた当地に関しては、当然、記録が残っているはずですが、どのような経緯で廃棄物を地中に残置したまま、換地することになったのか伺います。

 2点目として、今回発見された廃棄物を撤去することにより、近隣の地中、道や市有地を含めて廃棄物が埋まっていることはないと言えますか。

 3点目として、相手方に対して市は廃棄物の残置を通知及び考慮した上での換地をしましたか。

 4つ目として、地中に廃棄物を埋めたままでの換地には法的な問題はありませんか。

 5つ目として、損害賠償の額の内訳についての妥当性について伺います。

  以上、5点です。


⇒<答弁>

 1つ目、どのような経緯で廃棄物を残置したまま換地することになったのかという件でございますけれども、当該地は、土地区画整理事業以前は旧児玉町の町有地であり、昭和30年代から40年代にかけて町が収集した廃棄物の埋立地であったことや、平成9年時点には現在の街区が造成されていた情報、また平成11年には隣接地から廃棄物が発見され、旧児玉町が撤去した記録を確認していますが、当該地付近については、平成26年に作成した資料において、廃棄物は撤去済みであるという記録が確認されていたことから、廃棄物の残置を考慮せず換地処分を行ったものでございます。

 続きまして、2つ目でございます。近隣の地中、道や市有地を含めて廃棄物が埋まっていることはないのかということでございますけれども、このたび廃棄物が発見された当該地を含む旧児玉町の町有地、現在の本庄市有地ですが、その一部には廃棄物が残置されている記録を確認しております。それ以外の土地に関しましては、記録等の調査をいたしましたが、現時点では確認されておりません。

 3つ目でございます。相手方に廃棄物残置の通知及び考慮した上で換地したのかということでございますけれども、本件につきましては、相手方に廃棄物の残置に関しては通知しておらず、また廃棄物残置を考慮せず換地処分を行っております。

 4つ目、法的な問題の件でございますけれども、土地区画整理法では、換地を定める場合、土地を換地する前後の地質や環境などが照応するように定めなければならないとの「照応の原則」といった規定がございます。このたびの案件は、相手が所有する従前の廃棄物が埋設されていない土地を旧児玉町が所有していた当該地に換地した際、その土地に廃棄物が埋設されたことが土地区画整理法の照応の原則に反することが問題であったというふうに認識しております。

 最後に、損害賠償額の内訳でございますけれども、内訳を項目別にちょっと分類して説明させていただきます。1つ目が、廃棄物本体の処分費、こちらが6,354万円でございます。運搬費、こちらが2,088万円でございます。それから、重機等、廃棄物の撤去作業にかかる費用が273万円でございます。そのほか埋め戻しの土の費用等を合計した8,883万円に消費税を加え、総額9,771万3,000円の賠償金額となってございます。

 以上でございます。


◆再質疑◆

 1点目については「平成26年作成の資料で撤去済みとされている」ということですね。しかし、よく分からないのは、平成26年に作成した資料そのものが「撤去済み」というふうに記載されていて、つまり資料そのものに問題があったのか、あるいは、後に資料を読んだ人が、本来「撤去済みなのは一部」であった資料から「全て撤去済み」と誤って読んでしまったのか、その辺の経緯をお願いします。

 2点目、まだ市有地には廃棄物の埋まっているところがあるというようなお答えでしたけれども、当該地は今や住宅地で民家も近いです。従って、何か環境に問題があれば、生活するうえで人体等に影響がないのかというのが一番気になるところで、その点に関してお伺いします。

 それから、これは4つ目と5つ目の質疑に係りますけれども、照応の原則に反する換地をしたということで、これは損害賠償の額の中には特に慰謝料のようなものが入っていませんけれども、その辺はどういう経緯でこうなったのかということを再質疑いたします。


⇒<答弁>

 1つ目の質疑の平成26年の記録の話でございますが、この資料につきましては、当時の担当のほうが複数の関係者から聞き取ったものにより、撤去済みという形で判断したというふうな形でございます。今回の事業につきましては、これは昭和49年から平成28年度まで、非常に長い間の事業であったこと、加えて途中で児玉町から本庄市のほうに引き継がれているということで、複数の職員がいろいろと多く引き継ぎながら進めていた事業というふうな形になってございます。繰り返しになりますけれども、そういった中で複数の、当時、換地のときの状況について、そのときの担当職員が複数の関係者から聞き取り等をしたことによって、撤去済みだという判断をしているというふうな形でございます。

 2つ目でございます。環境への影響というふうな形の質疑かと思いますけれども、現在まで当該地及びその周辺で有害物質等についての報告がないこと、並びに平成23年に当該地の隣接地における土質調査を行っております。これは、地中の有害物質等が確認できる調査を行った際に、法定基準値を超えるような有害物質は検出されていないことから、今回発見された廃棄物についても環境に影響はないというふうに思ってございます。これが2点目でございます。

 3点目については、今回の現所有者、旧所有者の方々とどういうふうな形で調整をしていったかということでございますけれども、今回発見されたのが、民間の宅地造成工事中に廃棄物が発生したということで、今の所有者の方、旧の所有者の方といろいろと調整した中で、工事については宅地造成を踏まえて民間の方にやっていただくという、今回議案で上げさせていただいている対応としては損害賠償という形でその費用をお支払いさせていただくということで、このような形に至ったということでございます。

 以上でございます。


◆再質疑◆

 1点目です。答弁をお聞きすると、まずは、昭和49年から平成28年までの長い工事だった、ということですね。それで、平成26年に当該地に関する資料を作成する際に、当時の担当者が当該地の事情を知る職員に聞き取りをして、「撤去済みである」というふうに、当該地の産業廃棄物に関する資料を作ったということですよね。

 私が聞いていてまず思ったのは、市役所の業務というのは「仕事」ですから、当然、文書が残るはずなのに、「聞き取り」で平成26年に文章を作成しています。そもそも、なぜ、文書が残っていないのでしょうか。なぜ、平成26年になって聞き取りをしなければ、当時のごみを埋め立てていたところがどこなのか、とか、どういう期間に、どういうごみをどれだけ埋め立てたか、わからないんでしょうか。ごみの埋め立てに関する記録が全くなかった、それは残っていなのか作っていなかったのかはわかりませんが、結果としてない、ということなのでしょうか。聞き取らなければ業務の内容がわかならにような「仕事」の仕方が、市役所のやり方として適切なのでしょうか。

 しかも、聞き取り調査をして文書を作成しているのに、その際作成された資料には、当該地には地中にごみがあったにもかかわらず、「ない」という資料を作って、今回発見されるまで、ないものとして扱われてきたわけですね。

 どういう仕事のやり方をするとこうなるのかという、文書は作らないのか、管理をどうしているのかということを考えていると、他のところは大丈夫なのかと、業務は問題なく遂行されているだろうかと心配になります。

 今回こういった問題が明るみになったということは、しっかりと文書を残し、文書で管理していく、という基本的なことが、本議案以外の業務についてもあるかもしれない。この議案の件についても「長い時間が空いている」「私たちの作成した資料ではない」等、それは役所内の論理としては通るのかもしれませんけれども、市民には通りません。どうして、どういう仕事の仕方をするとこういうことになるのか、お伺いします。

 それから、私が2点目で聞いたことについて、環境に関する答弁はありましたけれども、私は「人体に影響」とも申し上げました。先ほど部長の説明の中で、現在、当該地は宅地造成の工事中だという話もありました。ということは、当該地には住宅が建つわけですよ。最初の説明の中で、市有地にはまだごみがあると仰っていましたので、それが人体に影響がないのかということについての説明を、再度求めます。

 3つ目として、最初の説明の、照応の原則に反しているというようなことがあって、これは「どうしてくれるのだ!」と相手方がご立腹されている場合、今回の額では済まない、もっと大変なことになったかもしれないのではないかと思うのですけれども、今回慰謝料という費用が含まれなかった経緯をお伺いします。


⇒<答弁>

 まず、1つにつきましては、資料の保存の仕方ということでございますが、先ほども、ちょっと繰り返しになってしまいますけれども、一つは長期にわたる事業であったこと、加えて途中に事業者が児玉町から本庄市に替わったことということ。内田議員のおっしゃるとおり、行政としては当然資料を残しながら仕事を進めていくというのは基本だと思ってございます。原因については、かなり長期にわたってそういった事業が進んでいたというところだと我々は思ってございます。今後につきまして、今回の反省を踏まえて、適切な事務の執行というものについては注力してまいりたいと思ってございますので、ご理解いただければと思います。

 2点目でございます。環境への影響ではなくて、人体への影響はどうかというふうな話かと思います。ちょっと私の言葉不足かと思いますけれども、環境の影響イコール人体の影響ということで、今回の調査というのはこういう、廃棄物があったところは、ちょっと厳しい指標で調査した結果となっておりますので、繰り返しになりますけれども、人体の影響も今の段階ではないのかなと思ってございます。

 あとは、ほかのところについては、要するに今の段階で確認できていないということなので、要するにほかにも廃棄物があるという形では確認していないということは申し添えさせていただきたいと思います。

 3点目につきまして、これもちょっと繰り返しになるかと思いますけれども、現所有者、旧所有者の方といろいろと調整をさせていただきながら、今回のような形で進めさせていただくということでご理解いただいているということ、それについては感謝申し上げたいと思っております。

  以上でございます。